離婚協議書とは
- 熊倉麻子
- 6月4日
- 読了時間: 4分
更新日:6月6日
前回の投稿では、行政書士は離婚協議書作成をサポートできることをお伝えしました。
今回は「離婚協議書」とは何か?「なぜ作成する必要があるのか」このような疑問を解決しその重要性について解説します。
離婚協議書とは何か
離婚協議書とは、離婚する夫婦が、慰謝料や養育費、財産分与といった離婚条件について話し合い、合意した内容を明確に記録するための、非常に重要な書面です。わかりやすく言えば離婚時に夫婦で交わす大切な約束です。
「離婚協議書」は法的に作成が義務付けられているものではありませんが、もし金銭的な取り決めを口約束だけで済ませてしまうと、後々トラブルに発展する可能性が非常に高まります。将来的なトラブルを未然に防ぎ、安心して新しい一歩を踏み出すために、作成を強くおすすめします。
なぜ離婚協議書を作る必要があるの?メリット・デメリットは?
「離婚協議書の作成は手間がかかるし、口約束でも十分なのでは?」と考える方もいらっしゃるもしれません。しかし、その手間をかける価値は十分にあります。離婚協議書を作成することには、以下のような大きなメリットがあるからです。
後々のトラブル防止
例えば、養育費の支払いです。「毎月末に〇万円支払う」と口約束で取り決め、当初は約束通り支払われていたとします。しかし、月日が経つにつれて、支払う側の気持ちや経済状況が変わり、支払いが滞ったり、突然ストップしてしまうケースは少なくありません。このようなトラブルが発生した場合、口約束だけでは解決が困難になることが多いです。
しかし、離婚協議書があれば、話は大きく変わってきます。書面として取り決めが明確に残されているため、支払いが滞った際に合意内容を相手に提示し、支払いを求める根拠となります。また最悪の場合、法的手続きを進める際にも強力な証拠となり、スムーズな解決へとつながりやすくなります。
これは、養育費に限らず、財産分与や慰謝料など、金銭的な条件全般に言えることです。口頭での約束は時間が経つと曖昧になりがちですが、書面があれば、お互いの認識のズレを防ぎ、後々の不要な争いを避けることができるのです。
公正証書化へのステップ
離婚協議書を元に公正証書を作成することも可能です。公正証書にすることで、例えば養育費の支払いが滞った際に、裁判手続きなしに強制執行が可能になるなど、さらに法的効力を持たせることができます。
心理的な安心感
取り決めた内容が書面になっていることで、精神的な安定につながります。「もし約束が守られなかったらどうしよう」といった将来への漠然とした不安も解消され、安心して新しい生活を送ることができるでしょう。
ここまでメリットについてお伝えしてきましたが、離婚協議書の作成にはいくつかデメリットも存在します。
公正証書にしないと強制力がないこと
作成した離婚協議書は、それ単体では法的な強制執行力を持つものではありません。もし相手が約束を破った場合、裁判手続きなどを経なければ強制的に履行させることはできません。金銭に関する取り決めがあり、より強い法的効力を持たせたい場合は、別途「公正証書」にする手続きが必要となります。
費用が発生する場合があること(専門家依頼時)
専門家(弁護士、行政書士など)に作成を依頼した場合、費用が発生します。もちろんご自身で作成することも可能ですが、法的知識や書類作成の経験がない方にとっては、この費用は将来のトラブルを避けるための「投資」と考えることもできます。
夫婦双方の合意が必要であること
離婚協議書は、あくまで夫婦がお互いに納得し、合意した内容を文書化するものです。もし片方が条件に合意しなかったり、話し合い自体を拒否したりする場合、協議書を作成すること自体が難しくなります。強制力を持って一方的に作成できるものではないという点も理解しておく必要があります。
ここまで離婚協議書のメリットとデメリットについてお伝えいたしましたが、最も重要なのは、お互いが納得し、将来のトラブルを未然に防ぐための合意形成であることです。
さいごに
離婚協議書は、夫婦が離婚する際に、お互いの未来のための大切な約束を書類として形にするものです。作成することで、後々のトラブルを防ぎ、あなたが安心して新しい人生をスタートするための大きな支えとなるでしょう。
もし離婚を考えているのであれあば、ぜひ離婚協議書の作成を検討してみてください。そして、疑問や不安があれば、一人で抱え込まずに信頼できる専門家に相談することをおすすめします。
行政書士熊倉麻子離婚サポート事務所のホームページはこちら
Comments