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養育費について

更新日:2 日前

離婚後の生活で多くの方が不安に感じるのが、「子どもの養育費」ではないでしょうか。


「養育費っていくらくらいもらえるの?」「どうやって決めればいいの?」「もし払ってもらえなかったらどうしたらいいの?」

そんな疑問や不安を抱えながら、日々過ごしていらっしゃる方も少なくないかもしれません。


「なんとなく知っているけど、実際はよくわからない…」と感じることもありますよね。

でも、お子さんの将来のためにも、養育費についてきちんと理解しておくことはとても大切です。とはいえ、養育費の取り決めや手続きは少し難しく感じてしまうことも。誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。


この記事では、そんな養育費にまつわる不安や疑問を少しでも解消できるように、基本的な知識から金額の決め方、話し合いの進め方、養育費の取り決めを公正証書にするメリットをやさしく丁寧に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、養育費に関するモヤモヤが少しずつ晴れて、「これからどうすればいいのか」が見えてくるはずです。


1. 養育費とは?

養育費とは、離婚後にお子さんが生活していくために必要なお金のことです。


具体的には、食事・衣服・住まいにかかる費用のほか、学校や塾の学費、医療費、交通費、おこづかいなど、お子さんが社会に出るまでに必要になるさまざまな費用を含みます。

たとえ離婚して親権がなくなっても、親である限り「子どもを育てる責任(扶養義務)」は続きます。これは法律でもしっかりと決められていることです。

養育費は、こうした親の責任を果たすために、子どもを育てている側の親に対して、もう一方の親が支払うお金です。

つまり、養育費は「子どもの権利」であり、「親の義務」でもあります。

「払いたくない」「納得できない」といった感情だけで支払いをやめたり、減らしたりすることは原則として許されていません。お子さんの生活や未来を守るためにも、養育費についてしっかり取り決めをして、確実に支払っていくことがとても大切なのです。


2. 養育費の金額はどう決める?「養育費算定表」の使い方

「養育費って、いったいいくらもらえるの?」

そう思ったときに参考になるのが、家庭裁判所が公表している「養育費算定表」です。



この算定表では、夫婦それぞれの年収や子どもの年齢・人数に応じて、おおよその養育費の目安金額を確認できます。実務でも、ほとんどのケースでこの表をもとに話し合いが進められています。


養育費算定表ってどんなもの?

簡単に言うと、収入と子どもの情報をもとに、目安の金額を一覧にまとめたものです。


次のようなステップで使います。


夫婦それぞれの年収を確認

会社員の方は「源泉徴収票」、自営業の方は「確定申告書」で年収をチェックします。

算定表は「税込みの総収入」をもとに作られています。

子どもの年齢と人数を確認

子どもの人数と、0~14歳か、15歳以上かで、使う表が変わります。

年収をもとに表の交差点を確認

義務者(払う側)と権利者(受け取る側)の年収が交わるところの金額が目安になります。

例)子どもが1人(10歳)、夫の年収400万円、妻の年収150万円(どちらも会社員)の場合→「子ども1人・0〜14歳用の表」で、夫400万円・妻150万円の交差点の金額を確認します。


知っておいてほしいこと

この算定表はあくまで“目安”です。

例えば、私立の学校に通っていたり、特別な医療費が必要だったりする場合には、話し合いによって金額を調整することもあります。表の数字だけにとらわれず、お子さんの状況やご家庭の事情をふまえて、柔軟に考えることが大切です。


3. 養育費はいつからいつまで支払うの?

養育費は、原則として「お子さんが社会的に自立するまで」支払うものとされています。


何歳まで支払うの?

20歳まで:多くのご家庭では、成人する20歳までを支払い期間とするケースが一般的です。※現在の成人年齢は18歳ですが、養育費の取り決めでは20歳までとすることが多いです。

大学卒業まで:お子さんが大学に進学する場合など、教育費がかかることを見越して「22歳(大学卒業時)」までとすることもあります。


どちらにするかは、ご夫婦の合意で決められますので、話し合いの中でしっかり決めて、できれば書面に残しておきましょう。


いつから支払うの?

養育費は、原則として「請求したときから」発生します。

離婚後や別居後に話し合いを後回しにしてしまうと、それまでの分をさかのぼって請求するのは難しくなることもあります。

できるだけ早めに取り決めておくのがおすすめです。


4. 養育費の請求方法と進め方

養育費の取り決めは、まずは夫婦間での話し合い(協議)からスタートするのが基本です。

① 夫婦で話し合う(協議)

まずはお互いの希望や状況を伝え合いながら、養育費の金額・支払い期間・支払い方法(口座・支払い日など)について話し合います。

合意できたら、その内容を「離婚協議書」にまとめておくことが大切です。できれば「公正証書」にしておくと、万が一のときにも安心です。


② 家庭裁判所の調停を利用する

話し合いが難しい場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てることができます。

調停では、中立な立場の調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら進めてくれます。

合意に至れば「調停調書」が作成され、これは裁判所のお墨付きがある文書として、法的効力があるとされています。


③ 審判へ進む場合も

調停でもまとまらなかった場合は、「審判」という手続きに移行します。

ここでは裁判官が判断を下し、養育費の金額や支払い方法が決まります。

※審判手続きについて詳しく知りたい方は、家庭裁判所や弁護士へのご相談をご検討ください。


5. 養育費を「公正証書」にするメリット

養育費の取り決めを「公正証書」にしておくと、こんなメリットがあります。

強制執行ができる

もし相手が約束通りに支払わなかった場合、「強制執行認諾文言」が入っている公正証書があれば、裁判を起こす必要はありません。

合意内容をきちんと記録できる

公証人が内容をチェックして作成してくれるため、あいまいな表現がなく、後のトラブル防止にもつながります。

信頼性が高い

公正証書は「公文書」なので、相手にとっても「きちんと守らなければ」という気持ちになる、安心感のある書面です。


6. 養育費の「増額・減額」ができる場合って?

一度決めた養育費でも、その後の事情によって、増額・減額を話し合うことができます。


増額が認められる可能性が高いケース

  • 支払う側の収入が大きく増えた

  • 受け取る側の収入が減った

  • 子どもの進学や病気などで費用が増えた など


減額が認められる可能性が高いケース

  • 支払う側の収入が減った(病気・失業など)

  • 相手が再婚し、子どもが養子縁組された

  • 支払う側にも新たな扶養義務ができた など


まずはお互いで話し合い、それでも難しい場合は家庭裁判所に調停を申し立てることもできます。事情が大きく変わったときは、一度専門家(弁護士)に相談してみるのがおすすめです。


7. 養育費が払われないときは?

せっかく取り決めをしたのに、相手から支払いがない…そんなときの対処法です。


公正証書がある場合

公正証書に強制執行認諾文言が入っていて、公証役場にて執行文の付与を受けた場合、すぐに裁判所に「強制執行」の手続きを申し立てることができます。

相手の給与や預金などを差し押さえて、未払い分を回収することが可能です。


公正証書がない場合

養育費が支払われないときは、家庭裁判所に調停を申し立てるのが一般的です。話し合いがまとまらなかった場合には審判に進み、裁判官が金額や支払い方法を判断します。

調停調書や審判書があれば、強制執行によって未払い分を回収することが可能です。


8. 養育費の取り決めを離婚協議書や公正証書にまとめたいかたへ

養育費の金額や支払い方法が夫婦間で話し合えている場合は、行政書士に「離婚協議書」や「公正証書原案」の作成を依頼するのがおすすめです。行政書士は弁護士のような代理交渉は行えませんが、その分、費用を抑えて書類作成に特化しているのが強みです。争いがないケースでは、シンプルかつスムーズに手続きを進められるため、「落ち着いて話し合いができているけれど、文書としてしっかり残したい」という方に適しています。


ご相談をご希望の方へ

離婚協議書の内容や、公正証書にするべきかどうか迷っている方、

「何から始めたらいいのかわからない」という方もご安心ください。

行政書士熊倉麻子離婚サポート事務所では、

離婚に関する書面作成や手続きについて、丁寧にサポートしております。

どうぞお気軽にお問い合わせください。



 
 
 

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