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離婚協議書の公正証書って何?

更新日:19 時間前

前回の投稿では、離婚協議書についてお伝えしました。

今回はその続きとして、離婚協議書を「公正証書化」することの重要性についてご紹介します。


離婚後のトラブルを防ぐためにも、公正証書にしておくことはとても大切なポイントです。

特に養育費や慰謝料、財産分与など金銭に関する取り決めがある場合は、公正証書にしておくことで強制執行が可能となるため、より確実な対策になります。



離婚協議書の公正証書化とは?

離婚の際、夫婦間で話し合って取り決めた内容を「離婚協議書」という形で書面に残すことは、とても大切です。しかし、そのままでは法的な強制力が弱いことをご存知でしょうか?


そこで出てくるのが、公正証書化という方法です。


公正証書にするとどうなるの?

離婚協議書を公正証書にしておくことで、万が一相手が養育費や慰謝料を支払わなかった場合でも、裁判を経ずに給与などを差し押さえることが可能になります。これは「強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)」という文言を入れることによって実現します。

※ただし、強制執行が可能なのはあくまで金銭の支払いに関する部分のみです。面会交流などの取り決めには適用されません。


正式名称は「離婚給付等契約公正証書」

ちょっと聞き慣れないかもしれませんが、法的には「離婚給付等契約公正証書」という名称で作成されます。給付という言葉には、養育費・慰謝料・財産分与など、離婚に関わる一切の金銭的取り決めが含まれます。


作成の流れは?

  1. 協議内容をまとめた原案を作成(専門家がサポートすることも可能です)

  2. 公証役場に予約を取り、公証人と面談

    公正証書の作成にあたっては、原則としてご夫婦お二人で公証役場へ行かれることをお勧めします。

    公正証書の作成は、公証役場や公証人によっては代理人を立てて手続きすることもできます。しかし、代理人を立てた場合、ご本人様がその場で公正証書の内容を直接確認することができません。

    事前に原案を確認することはできますが、書面でのやり取りだけでは「細かい内容まで見ていなかった」「よく分かっていなかった」と感じる方もいらっしゃるようです。

    そのため、ご夫婦おそろいで公証役場へ足を運んでいただくのが、内容をしっかり確認し、安心して手続きを進めるためにも一番確実です。

  3. 内容に問題がなければ、公正証書として完成

  4. 必要に応じて写しを保管・使用


公正証書作成にかかる費用は?

公正証書作成には、公証人手数料(国で定められた料金)がかかります。金額は、取り決める金銭の額によって変動しますが、例えば以下のようなイメージです。

養育費総額が300万円の場合→公証人手数料約1万円前後

養育費や慰謝料、財産分与などを含めた総額が500万円の場合→約1万7千円前後が目安です。


公正証書の作成費用についての詳細は、以下の日本公証人連合会の公式資料をご参照ください。


公正証書化のメリットまとめ

養育費などの不払いリスクに備えられる

将来のトラブルを未然に防げる

当事者間での曖昧な約束を、法的に確かなものにできる


※ただし、公正証書に「強制執行認諾文言」が入っていても、必ずしも相手の財産を差押えられるとは限りません。相手方に給与や預金、不動産などの差押え可能な財産がない場合、実際に回収することが難しいケースもあります。


最後に

離婚は感情の整理と同時に、生活の再スタートでもあります。

「後から揉めないために」必要な準備のひとつが、この公正証書化です。

「うちは大丈夫」と思っていても、将来の不安を少しでも減らすために、しっかりと書面を残しておくことをおすすめします。


ご相談をご希望の方へ

離婚協議書の内容や、公正証書にするべきかどうか迷っている方、

「何から始めたらいいのかわからない」という方もご安心ください。

行政書士熊倉麻子離婚サポート事務所では、

離婚に関する書面作成や手続きについて、丁寧にサポートしております。

どうぞお気軽にお問い合わせください。



 
 
 

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