離婚時の慰謝料、知っておきたいこと
- 熊倉麻子
- 5 日前
- 読了時間: 4分
離婚のときに「慰謝料はもらえるの?」と気になる方は多いのではないでしょうか。今日はそんな「離婚と慰謝料」についてお話します。
実は、離婚したからといって、必ず慰謝料がもらえるわけではありません。慰謝料が認められるのは、「離婚に至った原因が一方の不法行為によるもの」と判断されたときです。
たとえば、
• 配偶者の不倫(不貞行為)
• 暴力やモラハラ
• 悪意の遺棄(生活費を入れない、家を出て行って連絡を絶つ など)
• 過度なギャンブル
• 長期の性交渉拒否
こうした行為があった場合、精神的苦痛に対する賠償として慰謝料を請求できる可能性があります。
逆に「性格の不一致」「すれ違い」など、どちらにも非がないようなケースでは、慰謝料が発生しないこともあります。
慰謝料っていくらもらえるの?
慰謝料の金額には、法律上の明確な基準があるわけではありません。
ただし、過去の裁判例などからある程度の相場が見えてきます。
たとえば、配偶者の不倫が原因で離婚に至った場合、
慰謝料の相場は100万円〜300万円前後といわれています。
ただし、金額は一律ではなく、さまざまな事情が考慮されます。
たとえば
• 不倫の期間や回数、悪質性
• 不倫をきっかけに夫婦関係がどの程度破綻したか
• 婚姻期間の長さ
• 子どもの有無
• 被害を受けた側の精神的苦痛の大きさ
• 離婚に至るまでの経緯
暴力(DV)やモラハラの場合も、状況によって数十万円〜300万円程度の慰謝料が認められるケースがあります。また、相手の資力(払えるかどうか)も実務上は考慮されることが多いです。そのため、同じような理由での離婚でも、慰謝料の金額は人によって大きく異なることがあります。
請求するにはどうすればいい?
慰謝料は、離婚の話し合いの中で請求することができます。もし合意ができたら、「離婚協議書」や「公正証書」に慰謝料の金額や支払い方法をしっかり記載しておくことが大切です。
なぜなら、口約束やLINEだけのやり取りだと、後になって支払われなくなった場合に、法的な強制力がなく困るケースが多いからです。特に分割払いの場合や、金額が大きい場合には、公正証書にしておくことで万が一滞納されたときに強制執行(差し押さえ)をすることも可能になります。
話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所での調停や、訴訟で慰謝料を請求する方法もあります。
慰謝料請求するには証拠が大切
慰謝料を請求するには、相手の不法行為があったことを証明する必要があります。
そのためには、できるだけ客観的な証拠を集めておくことが大切です。
たとえば、不倫が原因の場合は
• ラブホテルの出入り写真
• メールやLINEのやり取り
• 不倫相手との旅行の予約記録
• 探偵の調査報告書
DVやモラハラの場合は
• 怪我の診断書や通院記録
• 音声録音
• 被害を受けたときのメモや日記
• 110番通報履歴や警察の相談記録
こうした証拠があることで、話し合いや調停・裁判で慰謝料を認めてもらいやすくなります。
慰謝料と財産分与は両方請求できます
慰謝料と財産分与は、意味も目的も異なるものです。慰謝料は精神的苦痛にたいする賠償金、財産分与は結婚生活で築いた財産を分けるための手続きです。そのため、条件が整えば、どちらも請求すことが可能です。
慰謝料請求をスムーズに進めるために行政書士ができること
慰謝料をきちんと受け取るためには、話し合いで決めたことを「書面に残す」ことがとても大切です。
特に分割払いの場合や金額が大きい場合は、あとで「言った言わない」のトラブルを防ぐためにも、きちんとした書類を作っておきましょう。
ここで行政書士がサポートできることを簡単にご紹介します。
離婚協議書の作成
慰謝料の金額や支払い方法を含め、養育費や財産分与など、離婚に関する取り決めを一つの書面にまとめます。お互いの合意内容を明確にすることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
公正証書の原案作成
離婚協議書を公正証書にしておくと、もし相手が約束を守らなかったときに強制執行ができるので安心です。行政書士は公証役場で公正証書にするための原案を作り、公証役場の手続きがスムーズに進むようお手伝いします。
弁護士との役割の違い
行政書士は、話し合いがまとまった後の書類作成を専門にしています。もし相手が話し合いに応じない場合や、調停や裁判が必要なときは弁護士に依頼することになります。
離婚や慰謝料の取り決めは、しっかり形に残しておくことが安心につながります。「自分だけで準備するのは不安」という方は、専門家に相談してみてください。
当事務所でも、離婚協議書や公正証書の作成をお手伝いしています。お気軽にご相談ください。
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