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養育費の算定表で見る「年収」とは?

更新日:10月9日

離婚や別居後の大きな課題のひとつに「養育費の取り決め」があります。

家庭裁判所が公表している「養育費算定表」を使えば、親の収入や子どもの年齢をもとに毎月の養育費の目安を確認することができます。


ところが実際のご相談でよくいただくのが、「年収って、どこを見ればいいんですか?」というご質問です。


「給料明細の手取り額?」「確定申告の所得額?」「ボーナスは含めるの?」…迷う方がとても多いのです。


今回は、算定表における“年収”の正しい考え方を、わかりやすく整理してみます。



算定表でいう「年収」とは?

算定表における年収は、手取り額ではなく、税金や社会保険料を引かれる前の「額面収入」を指します。


会社員の場合

会社員の方は、源泉徴収票に記載されている「支払金額」の欄を見ます。

この金額は、基本給や残業代、ボーナスなどを含めた1年間の収入の合計です。


自営業の場合

自営業者の方は、確定申告書に記載されている「所得金額」をベースにします。

ただし、青色申告特別控除や専従者給与を加算する必要があり、さらに社会保険料は差し引くのが一般的です。


変動が大きい職種の場合

歩合制や営業職などで毎年の収入が大きく変動する場合、直近数年の平均年収を基準に判断されることもあります。

一時的に収入が大きく下がった、あるいは上がった年だけを基準にすると不公平になるためです。


自営業者はさらに注意が必要

自営業の場合、経費の計上方法や家族への給与の扱いなどで「所得金額」が変わってきます。

また、収入の変動幅も大きいため、会社員以上に複雑な計算や調整が必要となるケースが多いです。



算定表はあくまで「目安」

算定表は非常に便利ですが、必ずしもその金額どおりに養育費が決まるわけではありません。


たとえば…

・子どもが私立学校に通っている

・医療費など特別な出費がある


こうした事情があれば、算定表の金額から増減することもあります。

逆に、収入の不安定さや生活状況によっては、算定表より低い金額になる場合もあります。


養育費は「子どもの権利」

ここで忘れてはいけないのは、養育費は親のためのお金ではなく、子どもの健やかな成長のためのお金だということです。法律上も、子どもを引き取らなかった親には「扶養義務」があり、養育費の支払いはその義務の一部です。

たとえ離れて暮らしていても、子どもにとっては大切な親に変わりありません。


算定表を参考にしながら、お互いが納得できる形でしっかり話し合い、子どもの未来を守っていきましょう。



 
 
 

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